システム手帳の起源について

システム手帳
システム手帳

割とシステム手帳という文房具が好きなんだけど、そのシステム手帳というものの起源について改めて調べてみた。よく、システム手帳の起源として言われているのはこんな感じ。

システム手帳が生まれた背景には、第一次世界大戦の反省があった。同大戦以前の戦争では、貴族階級が指揮官として、平民からなる民兵・動員兵を統率して戦う組織が一般的だった。しかし第一次世界大戦のような国力を総動員し、かつ機関銃やダイナマイト、大砲や毒ガスなどの新兵器が登場した大規模な戦争では、前線で甚大な人的損害を発生させ、将校=貴族、という前提が崩壊した。銃後の生産労働力として利用されるようになった女性労働者と並んで、知識を有する平民が将校として大量に採用され活躍するという、従来とは異なった戦争の形態が生まれた。

この新しい戦争の形態にあって、以下のような情報は部隊の死活問題にも及んだ。

膨大な量を消費する、機関銃や大砲の砲弾、兵隊が消費する食料などの在庫管理
日々の天候や風向き、季節の変化や地形の条件などによって変化する毒ガスの脅威
大砲の一斉射撃と時間を合わせた一斉突撃の指示、戦術的な連携
そして優秀であるとはいえ、平民将校は指揮に不慣れという問題もあった。そのためもはや近代戦争は、個人の頭の中だけで軍隊を運用できる限界を超えてしまった。この大戦では、膨大な数の平民を兵士だけではなく現場の指揮官として活用していかなければ、国家として・組織としての軍隊が成り立たなくなっており、そこで扱われる情報も相対的に増大した。

このような深刻な問題意識から、イギリス陸軍の将校たちによって考えられた情報ツールがシステム手帳である。そして、その利便性が徐々に広まるにつれ、様々なところで使われるようになっていった。

システム手帳 – Wikipedia

なんだけど、これってホントなんやろうかと改めてネットで調べてみると、Lefaxというものがあったっぽい。

Lefaxは1910年にJ.C.Parkerって人がアメリカのフィラデルフィアに作った会社で、そこでエンジニアや技術者みたいな人が、手軽にマニュアルなんかを持ち歩けるツールとして、ルーズリーフ型の手帳を開発したらしい。(Lefax – Wikipedia

起業したのが1910年、第一次世界大戦の前、よく名前が出るFilofaxの設立が1921年なのでだいぶ先んじてる。どんなものかっていうとこんな感じのものっぽい(そう書いてるから載せるけど、本物かどうかはよくわからない)。当時は割と流行ったらしくこの形式で雑誌?みたいなものも発売されたりしていた様子。

LEFAX Data Sheets Electrician's Data 1958 Vintage No. 625のeBay公認海外通販|セカイモン
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1934 Lefax engineering reference collection and organizer - flip-top boxのeBay公認海外通販|セカイモン
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じゃぁ、Lefaxがその後どうなったかというと、どうもFilofaxにパクられて、最終的に買収されて終わるらしい。ざっくりいうとこんな感じ。

1910年:フィラデルフィアのエンジニア JC パーカーがルーズリーフ式のパーソナルオーガナイザー Lefax を発明
1921年:ロンドンにある印刷・文具販売会社Norman & Hill Ltd.がLefaxの手帳を輸入し始める。当初は主にビジネスマンや専門家向けに販売。(創設者がLefaxの元従業員だったっぽい?)
1926年:Lefaxがアメリカで商標登録
1930年:英国で「ファイロファックス」の商標を登録
1980年代:LefaxはLondon Wood Partnersに買収される
1980年:夫婦の起業家チームであるデビッド・コリションとレスリー・コリションが過半数の株式を取得し、社名をファイロファックスに変更。
1992年:LefaxはさらにFilofaxに吸収される。この結果、Lefaxブランドは段階的に廃止。

ORGANIZING PAYS OFF AT FILOFAX (Published 1987)

そうなると、今度はシステム手帳の起源でよく言われる軍隊起源説みたいなものは一体何なんだということになるんだけど、これは、1920年、英国陸軍大佐のディズニーが、アメリカからルーズリーフ式のバインダーシステムを持ち帰ったという話があるらしい。この人とラウンス、ヒルの3人が創業したのが後のFilofax。

この記事だと、ディズニーという軍人がアメリカからFefaxを持ち帰って、それを参考にFilofaxの創業者に試作を依頼とあるんだけど、歴史的にはFefaxを輸入販売しているので、実際にはFefaxを持ち帰って、当初はそれを販売。売れ行きが良かったので類似する自社製品を作成販売していったってことなんだろうな。

システム手帳は、戦場の情報ツールとして発展した | Dig-it [ディグ・イット]
戦争は発明を生んできた。その多くの発明は日常に入り込み、生活や趣味を支えるものに落ち着く。日用品では、缶詰、腕時計、ティッシュペーパーなど。20世紀後半の電子機

Filofaxの名前は、当時のFilofaxの秘書だったレース・スカールというひとが自身の手帳を「File of Facts(真実の手帳)」と呼んでおり、これを短縮して「Filofax」という名前が生まれたという話があるけど、元の名前がLefax(Leaf+Facts)なので、パク…かなりインスパイアされた名前なんやなぁっと思ったりする。

最終的には、LefaxはFilofaxに吸収される形で消えるんだけど、それよりかなり早い段階でFilefaxにお株を奪われて消えてるっぽい。で、システム手帳の起源については、Filofaxの語るストーリーを元に語られることになる。

別にFilofaxをどうのと言うつもりもないけど、歴史というのは世知辛いよなぁっと。

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