【ネタバレあり】ゴジラシリーズのまとめと簡単レビュー

感想・レビュー

シンゴジラが公開されたのに合わせて、今までのゴジラシリーズを改めて見なおしてみたので、それぞれの感想を簡単にまとめてみた。

もちろんレビューなので独断と偏見なのはしかたないけど、怪獣映画オタクとか特撮オタクの視点ではなく、できるだけ普通の人が見る場合を想定しているつもり。おすすめの項目もそういう人向けのイメージ。

と思ったけど、どうみてもそういうのは難しすぎる。結局ただの短評になった感は否めない。仕方ないのでタイトルの後ろに「おすすめ」をつけてみた。そしてどうせ見ないでしょ?バリにネタバレ。

昭和シリーズ

1954年 ゴジラ (おすすめ)

初代ゴジラ。全てはここから始まった。金字塔という意味だけでなく、はっきり言って他の作品とは全く別の作品。

これ以降の作品は、シンゴジラを除いてこの作品をベースにして『「ゴジラ」という怪獣がいること』が前提となっていると違い、「ゴジラ」という未知の恐ろしい何かが描かれている。

映画全体でも戦争が終わって9年しか経っていないとは思えないほどの生々しい描写が続く。ふと思い返すとこの映画に出演している人たちは、つい10年ほど前に戦争を体験した人たちなんだと思うとなんとも言えない気持ちになってくる。

白黒映画だけど、今のリマスターならちゃんと見えるはず。特撮が嫌いでも、怪獣映画が嫌いでも、この後のシリーズは見なくても、この作品だけは一度見ておいて損はない。

1955年 ゴジラの逆襲

みんなから駄作扱いされてるらしい。確かに全体的に冗長さは否めない。やっぱり二代目の造形は不細工というかなんというか。アンギラス初登場も良いとこなしで退場、今後も良いことなし街道を爆進の予定。主役は月岡のはずなんだけど、小林が良い奴過ぎて霞んでしまう。小林を見る映画

1962年 ゴジラvsキングコング

三作目にして今後の方向性を決めた作品。前二作の社会派的、硬派な雰囲気は鳴りを潜めコメディ+怪獣プロレスに。正直、怪獣の造形がダメっぽいし、ストーリー的にも微妙な感じ。格闘も試行錯誤の後があって、後のシリーズでは見られないような動きをしてるのは逆に見どころ?

1964年 モスラ対ゴジラ(おすすめ)

ゴジラ初黒星。テーマはおっちょこちょい。つまずいて八つ当たりする奴。思いっきり扇いだら自分の卵を転がして岩にぶつける奴。うまくいってた作戦を調子に乗ってダメにする奴。日本語ペラペラの酋長。反面、ドラマパートはシリアス。メディアのあり方や人間の欲と業。良い娯楽映画

1964年三大怪獣 地球最大の決戦

宇宙人初登場。格上感を出すも毎回リンチされてひどい目にあうギドラも初登場、物語は序盤からUFOや予言者てんこ盛り。怪獣の擬人化が進み以降ゴジラは正義の味方に。正直いま見るとキツイかも。でも、一番きついのは小美人の「(モスラは)ひとつ死んじゃったのよ」発言

1965年 怪獣大戦争

初宇宙人侵略。キングギドラ再び。でも相変わらずボコられて逃げ帰る。シェーをするゴジラが有名。ストーリーは友好的な異星人とコンタクト → 実は地球侵略を狙ってましたという話。正直ゴジラじゃなくてもいいなぁという気もする。見なくてもいいけど怪獣大戦争マーチは格好良いよ

1966年 ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘

エビラ初登場。初の水中戦。物語全体を通して今までのシリーズとはだいぶ違う。青春冒険活劇みたいなのを目指したかったのか?冒頭から耐久ラリーダンス大会とかいう謎の習俗で度肝を抜いてくる。アイディア、可愛くない小美人、寝坊助なモスラ、ただのエビ。音楽は独特で嫌いじゃないよ

1967年 怪獣島の決戦 ゴジラの息子

ミニラ初登場。はっきり言ってミニラが気持ち悪い。それに引きづられたゴジラも気持ち悪い。それに絡んだミニラパートも気持ち悪い。作る前に気が付かなかったのかな。でも、改めて見るとそれ以外のパートはストーリー的にも特撮的にも面白くて少し得した気分。大人しく南海の大怪獣(略

1968年 怪獣総進撃(おすすめ)

怪獣オールスター。でも、ほとんど顔見せ。そんな中ちゃんと登場するアンギラスとギドラ。そしていつも通りひどい目に合う。ストーリーはいつもの宇宙人が怪獣を操って侵略して来る奴。ただ、展開はスピーディーで、「いつもの」がこなれている感があって見終わった後の満足感は悪くない

1969年 ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃

超低予算映画。人間パート以外はほとんど使い回し。人間パートはいじめられっ子が夢の世界でミニラと出会って勇気づけられる的な話。一応申し訳程度に当時の社会風刺みたいな要素もあるが、それは次のヘドラ任せ。見る必要はない。でも、一度くらいなら見てもバチは当たらないかも

1971年 ゴジラ対ヘドラ

公害、退廃的な若者像、映像演出、部位破損、明確な死の描写。シリーズでも異色。申し訳程度に子供が主役だったりゴジラが空を飛んだりするけど、これは誤魔化しきれないだろ。ヘドラ自体はゴジラを殺し得た数少ない怪獣だと思う。まずは見るべき。ただし体調がいい時にしたほうがいい

1972年 地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン(おすすめ)

娯楽映画として安心できる怪獣映画。ちょくちょく入る文明批判はご愛嬌。一々格好をつけるけどいまいち締まらないガイガン、敵味方関係なしに撃ちまくるトリガーハッピーなギドラ、不憫だけど役立たずなアンギラス、一人真面目なゴジラ。怪獣プロレスとしては上々。ぜひ気楽に見よう

1973年 ゴジラ対メガロ

正にジェットジャガー様。悪役フェイスな外見通りの開幕無言パンチから始まりやりたい放題。映画は間延びしがちで終わりもぱっとしない。でも一歩引いて見ると、もう一つのインファント島、もう一匹のモスラ、もう一匹のゴジラと見えてきたりして切ない。そこに興味があれば見てもいい

1974年 ゴジラ対メカゴジラ(おすすめ)

昭和シリーズでも屈指。見応えのあるストーリー、寝ぼすけで小心者なシーサー、真面目なゴジラ、大火力のメカゴジラ、地球征服を企む宇宙人と国際警察、神秘の琉球王家、ちょい役でも不憫なアンギラス。やればできるやん。東宝自衛隊が出ないのは残念だけど全然OK。ぜひ見るべき

1975年 メカゴジラの逆襲(おすすめ)

昭和シリーズ最終作。今までとは違って遊びが極力排除されたシリアスな映画。宇宙人こそ出てくるもののストーリーもシリアスなら、奇抜な兵器も出てこない。人間の業と意志がせめぎ合う見応えのある映画に仕上がっている。でも興行的には失敗でシリーズ打ち切り、なむなむ。見るべし

平成(VS)シリーズ

1984年ゴジラ(昭和59年度作品)(おすすめ)

シリーズ再始動、ここから平成(VS)シリーズ。今までのことは無かったことに。突飛な世界観ではなく、生物としての、災害としてのゴジラ、冷戦下での緊張と核を下敷きにした真面目な映画。初代のオマージュを加えつつ、今でも十分鑑賞に耐える作品。あとスーパーXは格好いい。見るべし

1989年 ゴジラvsビオランテ(おすすめ)

単なる怪獣ではない災害としてのゴジラを主軸に、バイオテクノロジーや生命倫理、産業スパイ、対策にあたる自衛隊の活躍、若手とベテランの対比を主軸にした多彩な人間パートも魅力的。これだけ詰め込んでもストーリーは小気味よい。ゴジラ映画の中でも屈指の出来。まずこれを見るべし

1991年 ゴジラvsキングギドラ

前作の硬派なSFが興行的に不調だったので軟派なSFに。未来人は出てくる、タイムマシンを使ったゴジラの起源探しや未来改変。でもストーリーはガバガバ。未来の日本がバブリー。いつも通りギドラは酷い目に。今作が一番酷くて可哀想になってくる。音楽が凄くいいのでMV的に見るのが正解

1992年 ゴジラvsモスラ

中途半端なインディージョーンズ風がこっ恥ずかしい。内容的には特に見るものもない。あるとすれば行き遅れる予定の三枝さんの前で惚気る夫婦が痴話喧嘩する様くらい。バトラは格好いいけど大して活躍しない。ちょこちょこ入れてくる文明批判も面倒くさい。モスラ好きなら見てもいいかも

1993年 ゴジラvsメカゴジラ(平成5年度作品)

表題以外にラドンとベビーゴジラ。ベビーはミニラとは比べ物にならないくらいかわいい。ラドンがいまいちぱっとしないのはいつも通り。本作一番の不思議キャラかも。バトルも派手で起伏もあるので見てて楽しい。子供は楽しめるけど、主人公の青木のせいで大人はもやもやしてしまうかも

1994年 ゴジラvsスペースゴジラ

とうとう宇宙怪獣まで出てくる。全体的にまとまってる気がするが説明が不足しすぎて唐突な展開が多い。前作のベビーは可愛かったのにリトルは全く可愛くない。そしてなぜモゲラなんか作ってしまったのか。もっと他になかったのか、勝つ気がないとしか思えない。見なくてもいいかな

1995年 ゴジラvsデストロイア(おすすめ)

ゴジラの死と再誕を描くvsシリーズ最終作。初代ゴジラの直接の続編。でも石野の演技とデストロイアの動きが…。やりたかったことは分かるんだけど、全く追いついていない。それでも最後はスーパーX3と黒木特佐がきっちり締める。初代、vsシリーズを見たならここまで見ないとね

ミレニアムシリーズ

1999年 ゴジラ2000ミレニアム

ミレニアムシリーズの第一作。早速宇宙人とオルガ登場。特撮映画としてはテンポが悪く見ていてパッとしない。下手な合成も残念。反面、阿部寛や佐野史郎をはじめとする濃い役者を揃えた人間パートはそれなり。ただ全体の尻すぼみ感は否めない。見てもいいけど見なくてもいい

2000年 ゴジラ×メガギラス G消滅作戦

ミレニアムシリーズは第二作目にしてこのクオリティ。正直言って見るものはない。見たとしても全く腑に落ちない展開と落ちでぼんやりと嫌な気持ちになる。なんとなく全体を通して陰湿なんだよ、イメージが。ゴジラシリーズではなく、B級モンスター映画としてみれば好きな人にはいいかも

2001年 ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃

タイトルからも外されるバラゴン涙。雰囲気がシリーズでも異色。明示的に結構人が死ぬ。一部で考察されていたゴジラ=太平洋戦争で死んだ兵士の霊を公式でやらかす。主人公の性格が受け入れられるかがネック。正直、主役級の二人が英雄願望のある無能にしか見えない。怖いもの見たさなら

2002年 ゴジラ×メカゴジラ(おすすめ)

というより機龍。機龍に目が行きがちだけど、むしろ、いつもは颯爽と登場して派手に散華してしまうメーサー車やその隊員側から見たゴジラってのはシリーズでも異色。あれにも乗ってる人たちがいてそれぞれにドラマがあるわけで。全体に当たりの少ないミレニアムシリーズのなかでも面白い作品

2003年 ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS

前作xメカゴジラの続編、初代モスラの続編。映画としては微妙。モスラの続編としても小泉さん演じる中條博士が出る以上のものはない。映画としても少し安っぽい。モスラの操演は良かったけど。初代モスラは間違いなく名作なので見るべき。その後に心に余裕があればこれを見てもいいかもね

2004年 ゴジラ ファイナルウォーズ(おすすめ)

謎のオサレさがかっ飛んでいく不思議な軽い映画。でも、ここまでゴジラシリーズを見ていると一種のボーナストラックに早変わり。見知った怪獣たちの見たことない動きが楽しい。北村一輝の演じる統制官も新怪獣枠ではなかろうか。単品ではオススメしないので予習してみるべし

ハリウッド版

1998年 エメリッヒ版ゴジラ

いろんな意味でゴジラではないよね。ただ、モンスターパニック映画としては割合悪くない気がする。過不足なく見どころはあるし、高層ビル街を壊して進むんじゃなくて、走り回りながら地形を利用する動きとかも面白い。ゴジラと言うことを忘れて見るならモンスター映画好きにはあり

2014年 ギャレス版ゴジラ(おすすめ)

ハリウッド2作目。良くも悪くもハリウッド映画。物語も一兵士の立場から描かれていて、いつものヒーロー物語の域は出ない。見どころは色んな意味で妙に生々しいムートー。こいつだけ単なる怪獣とは違う生き物感がある。逆にゴジラの影が薄くなりがち。ハリウッド映画としてどうぞ

最新作

2016年 シン・ゴジラ(おすすめ)

ネタバレなし。どうせイロモノで残念な映画だと思ってた。正直舐めてた。これは映画館で見るべき映画。もはやゴジラとか怪獣とか関係なく未知の災害とそれに立ち向かう人たちの群像劇。そして、立ち塞がる日本という現実。そういう映画。正に初代の正統な後継作と言って過言ではない作品。

色々な人々+様々な日本の現実が交錯する映画。ノベライズとか出たら買ってじっくり読みたい。時々入る小ネタも楽しい。ただ、日本以外の国でこの映画の面白さがどこまで伝わるのかなぁ、日本人なら大丈夫、多分楽しめる。4DXで見て良かったけどIMAXでも面白そう。

自分なりの見どころの話。テーマは「虚構 対 現実」というのに集約されていて。はじめははっきりした二項対立だったのが物語が進むにつれて虚構の中にある現実と、現実の中にある虚構が少しずつ明らかになっていく。見終わった後にどこが虚構でどこが現実だったのか改めて考えると面白い。

ネタバレありの感想は以下を参照

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