カニとピカピカ

お話を作った

むかしむかし、あるところ、海の底のあるところにカニたちが住んでいました。カニたちは両手のハサミでご飯を食べたり、右に行ったり左に行ったりしながら暮らしていました。時には大きな魚から隠れたり、大きなハサミを上に上げたりしたに下げたりしたりもしていました。

そんなカニたちの中に、いつも空を見上げているカニが一匹おりました。そのカニは、一日中空を見上げていて、ご飯を食べるのも右に行くのも左に行くのも、大きな魚から隠れるのも、大きなハサミを上に上げたり下げたりするのも、空を見上げながらぼんやりしながらしていました。

カニはぼんやり空を見上げながら、なんで空はキラキラしてるんだろう、空はなんであんなに明るいんだろうと思っていました。でも、仲間のカニにその話をすると、ちゃんと下を向いて歩いてないないとご飯を見つけられないよとか、大きな魚から逃げるときはぼんやりしてないで急いで逃げないといけないよとか、お前が上ばっかり見ていてくれるおかげで安心してご飯を食べられるとか言われるのでした。

カニがいつも通りぼんやり空を見ながら、なんでみんな空のキラキラが気にならないんだろうと思っていると、突然、空からピカピカしたものが下りてきました。ピカピカしたものはカニのハサミと同じくらいでしたがそれよりもずっと細くて曲がっていました。

なんだろうと見ていると、いつもはカニを食べようとしてくる大きな魚かそのピカピカしたものに近づいていきました。その時です、大きな魚はピカピカと一緒に勢いよく空に上って行って見えなくなりました。

カニはあまりに急なことにびっくりしてしばらくぼんやりしていましたが落ち着いてくるとだんだんに分かってきました。きっとあのピカピカは空の上から下りてきて空に上っていくのだろう、あの大きな魚はきっと空に連れて行ってもらったに違いない。なんて素晴らしいことだろう、あれに掴まればきっと僕もあのキラキラする空に連れて行ってもらえるに違いない!

それからカニはぼんやり空を見上げるのはやめて、いつピカピカが空から下りてきてもいいようにじっと空を見つめるようになりました。そんな様子を見て仲間のカニたちは、そんなことよりちゃんと下を向いて歩いてないないとご飯を見つけられないよとか、大きな魚から逃げるときはぼんやりしてないで急いで逃げないといけないよとか、お前が上ばっかり見ていてくれるおかげで安心してご飯を食べられるとか言ってきましたが、カニはもう気にしませんでした。

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