鏡というのは考えると不思議なもので、普通は見ることがない自分の顔を見ることが出来たり、自分の後ろの景色を見ることができたりいたします。普段、鏡を見るときは化粧をしたりなんだと全体ではなく鏡のごく一部をじっと見ていることが多いと思いますから意識はしておりませんけれども、自分の後ろの景色なんてのは鏡がない時分はまず見ることができませんでした。
そんな鏡でございますから鏡の中には悪魔が住む、合わせ鏡など鏡にまつわる怪しい話はいろいろとございまして。昔から鏡には不思議な力があると思われておりました。
さて、昨今はテレワークだなんだとWeb会議ってものをする機会が多ございます。ですが、Web会議は妙に疲れる、服装も自由がきいて、自宅なんかの気安い場所でやってるはずなのに妙に疲れるなんてことをよく聞きます。
疲れる理由はいろいろと研究なんてのがされていて、例えば自分の顔をずっと見続けないといけないからなんて説や、相手の反応がわかりずらいので集中力が必要になってしまうって説もあったりいたしますが、本当は違うんだという話もある。例えば普段は見なくていい自分の後ろをずっとみてしまうことが疲れる原因ということでございます。
どういうことかと申しますと、Web会議に使っているWebカメラ、なんとなくみんな風景を撮影するカメラと同じようなものだろうと思っておりますし、何やら現代的な機械のように思っておりますけれど、インカメラってのは要するに鏡でございます。自撮りってのはカメラの中の自分がカメラの外にいる自分を見つめている。鏡の中の自分が鏡を見ている自分を見つめているように。機械だなんだってのをうっちゃって考えれば、それはもう鏡です。
ところで、人間は見るべきものを無意識に制限することがございます。たとえば集中していると周りが見えなかったり、嫌なもの嫌いなものが視界に入らなかったり。でも、それは全く見えていないというわけでございません。頭の中では見えているですが、それから無意識に意識をそらしているだけでございます。
たとえば視界の端がふっと気になって目を向けても何があったのかわからない、そういったことはございませんでしょうか。それは目から入った信号が頭ん中の脳みそにまでは届いて頭の中ではいったん見えている、見えていてそちらに注意を向けたのだけど、それを見たくなくて無意識的に意識をそらしてしまった状態ということでございます。そういう時は視線をそのままにせず、すぐに別のところを見たほうがよろしい。そうしないと見たくないものを見てしまうかもしれません。
こういう話は昔からあって、妖精と目が合うと言ったりする。視線をふと向けた先で妖精と目が合う。ここでいう妖精ってのはティンカーベルみたいなかわいらしいものとは限りません。妖精ってのは書いて字のごとく、妖しい精霊と書くんでございます。
そういう得体のしれないなにかと目が合ったときは、そいつに目が合ったと気が付かれないようにしないといけません。じっとあいての目を見つめたり、声をかけたり、驚いたりしてはいけない。そうしないとみられたことに気が付いたそいつは…。
気が付かれないようにしないといけないとはいっても急にあからさまに眼をそらしたりすると気づかれてしまいますので、例えば「あれ?時計がないな、こっちにもないか、あっちかな」といった独り言なんて言いながら別の場所に何気なく目をそらすのがよろしいそうでございます。
ところで、Web会議なんてものをやっていると、画面の端っこにある自分の顔が映ってる小さな枠が、妙に気になることはございませんか。別に何が映ってるわけでもない、映っているのは自分の顔と後ろが映っているだけの小さな枠のはずなんですが、何か妙に気になってしまう。
そういう時は気を付けたほうよろしゅうございます。いつもは絶対に見ることができない自分の後ろ、後ろにあって気が付いていない得体のしれない何か、頭が無意識的に見ないようにしている何かが気になっているのかもしれません。決してじっと見つめたりしないようお願いもうしあげます。
今回もストーリーキューブ全然使ってないけど、まぁいいか。