パネルディスカッション – 福岡アクセシビリティセミナー Vol.1

イベントに参加した

全体的に時間が押したため、若干駆け足気味なパネルディスカッションに

基本情報

項目 内容
*日程 2月18日 (土)
*登壇者 植木 氏、井上 氏、河村 氏、鈴木 氏
*会場 九州産業大学
*まとめ [2012-02-22-6]

河村氏、DAISYはなぜ国際規格を開発するのか?

DAISY(デイジー、Digital Accessible Information System)とは、デジタル録音図書の国際標準規格。
河村氏は、DAISYの規格制定に大きく関わっている
その他、DAISYのメンバーはePub3の規格制定にも参加している

DAISYの問題意識

災害発生時には情報へのアクセスが生死を分けることになるが、
障害者がそれに必要な情報へアクセス、共有出来ないことが問題だった

そのために、必要な要件を取りまとめDAISYを進めた

ユニバーサルデザイン

・ユニバーサルデザインは、「一つのもので全てに対応する」という事ではない
・誰もが参加(アクセス)できる多様性を確保することが大切

DAIYSの目的

そのためには、個別の規格でバラバラの仕様を作成していてはダメ

統一した仕様やガイドラインを標準のインタフェースとして様々な規格に組み込んでいくことが大切
そのための規格としてDAISYを策定し、例えばePub3などへその成果を組み込んでいく

鈴木氏、理数系のコンテンツのアクセシビリティ

理数系分野では、数式や図表などの問題がありアクセシビリティが高いとは言いづらい
そのためにNPO サイエンス・アクセシビリティ・ネットなどを通じて活動している

理数系のコンテンツの現状

・Webは少しずつアクセシビリティへの取り組みが進んでいる
・理数系コンテンツは、図や表、数式が多くアクセシビリティが低い
・必要な情報がPDFなどの形式で配布されていることが多い
・そのため、学習に必要な教科書が不在

そのため、学ぶ機会も少なく、アクセスしても肝心のコンテンツにアクセス出来ない状況

理数系のコンテンツの課題

・読み上げの問題
 ・海外では、Text DAISYが主流。これは読み上げに問題が少ないため
 ・日本では、漢字のよみや理数系独特の読み方などがあり、対応が難しい
  ・例)正の数(せいのすう)、負の数(ふのすう)、素数(そすう)。分数なども

ただし、日本語の読み上げでは、アクセントと間合いを制御すると、かなり自然に聞こえることがわかっている
→ 読み上げ方を記述する方法の標準化を行うことで、対応が進められるのではないか?
→ 現状では、読み上げの音声も同時に配布することで対応している

文章情報のアクセシビリティについて

植木氏

・PDFだからアクセシビリティが低いわけではない
・世に出回っているPDFのアクセシビリティが低いだけ
・Adobeは対応しようとしているが、制作者側やスクリーンリーダ開発者側にも問題がある
 ・PDF Techniques for WCAG 2.0などの情報も公開している

WordなどからPDFを作成した場合は、比較的アクセシブルなPDFが出来上がる
ただし、パンフレットなど紙のものをPDF化した場合は難しい

井上氏

・個人的な経験として、アクセシブルなPDFにはあまり出会わない
・画像をそのままスキャンしたものや文字情報があっても読み方が設定されていないもの
 ・読み上げ順が指定されていないため、読み方がめちゃくちゃになる

そのため、PDFは避けている

鈴木氏

・そもそもPDFが印刷の再現を想定しているのが問題
・ツールがどうにかするしか無いが、それだけではダメ

・OCRなど文字の解析は進んでいるが、紙面レイアウトの解析は全く進んでいない
 ・そのため、文字は読めても文章を読み取れない

そもそも、アクセシブルにしようとしてPDFを作る人は少ない
そこが問題

河村氏

・目的によってツールが異なるよう
 ・PDFは紙のイメージ
 ・ePubは電子出版のイメージ
  ・ePubのFixレイアウトではレイアウトは固定でも文字情報が含まれている
  ・それを利用して読み上げなども行えるため、ePubのほうがアクセシビリティとして有利

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