SaaSは死ぬのか論 2026年2月時点の感想
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最近、生成系AIの台頭によってSaaSは死ぬんじゃないかという話が話題になっている。これのせい?でSaaS系のサービスをやっている会社の株価が軒並み下がったり、バブル崩壊するんじゃないかみたいな観測も出てきたり。
SaaSは死ぬん?いや、専門知識って大事やで
で、今時点でどうなの?と言われると中々死ぬことはないだろうなというのが正直なところ。たまにこの話題で出てくるのは、出退勤を記録したりとか、〇〇をやるアプリを生成系AIで作ってみて、ほらこんなに簡単に自分で作れますよね?だったらわざわざSaaS契約なんかしなくない?っていう話。
なんだけど、実際こういうSaaSでなにをやっているかというと、例えば出退勤を記録するサービスは記録だけしているわけじゃなくて、その背後にある色々な法律や規制、そういったものとの整合性を取っているというのが正直なところ。要するに記録するってところは、すごく表層的な部分であって、その裏にある色々な知識がメインになっている。
これはある意味、「法規制への準拠(コンプライアンス)という安心」をサブスクリプション形式で売っていると言ってもいい。
これと似たようなところで、弁護士や医者なんかも単に表層的な文言のみ見れば大したことはないのだけど、そのバックボーンにある専門的な知識や経験というのが重要なわけで、単に熱がありますね → 風邪薬出しておきますね。では済まないパターンというのがある。
もちろん、おおよその場合は、「熱がありますね → 風邪薬出しておきますね」で済むだろうし、出退勤の記録は時間を記録しておけばなんとかなる。問題は、そう上手く行かなかったとき。その時、いや、これは生成系AIでなんやかんやしていたんですって言ったってどうしようもない。そういう意味では、もしもの時の保険としての専門知識を踏まえたSaaSはというのは、当面は生き残ることになるんだろう。
逆に貧者向けのSaaSは滅びるかもしれないなと思わなくもない。もちろん、そういうサービスを使って、良くないことが起こったときは、そのリスクを取らないといけない。いや、そういう選択を取る人はリスクなんて取らないので、即ペナルティを受けることになるんだろうなぁ。
これって、外部のSaaSだけじゃない。内製の問題
いまは、外部のSaaSの話をしたけど、生成系AIを使って社内システムを作る場合も同じようなことになる。例えば現場レベルが社内ルールをちゃんと把握せずに現場合わせで生成系AIを使った「業務改善」を行ったとする。果たしてそれは会社の規定に沿った作りになっているのか、そこにはコンプライアンスの欠如と言った問題を内包する、野放図な世界が待っているのでないかって話は、すぐに繋がってくるわけで。
専門知識を持つSaaSを倒すには
じゃぁ、今後そういう世界が定着するのかというと、例えば法律的なものの解釈を今の自然言語で記述して人間が解釈するような世界がどのくらい続くのかって話に繋がってくると思っていて、例えば法律をルールベースに記述て着る方法が確立して、すべての法律をそのルールに則って記述し直せば楽しい世界が待っているのかもしれない。
例えば、システム開発の世界では、CI/CDみたいな考え方がある。CIは、開発したプログラムを自動的にテストすることで、テスト漏れなんかを防ぐことができる。CDは、修正した内容を自動的に本番に反映したりする。どちらも自動でやることで、あるものを作ったり修正したりする負担やミスを軽減するための仕組み。
それを法律や制度にも適用できれば、今の法改正や解釈の問題にも一定の効率化が見込めるし、そういう物があることで、法律の運用やサービスの適用のヒントにもなる。例えばある仕組みを備えたプログラムを自分で生成AIを使って作ったとしても、このルールベースと比較することで、運用がルールに則っているかどうかとかね。
とは言っても、2026年2月現在だと、そういう物ができるのはまだまだ先な気がするし、まだもう少しSaaSは死なないんじゃないかな。
それよりも先にオープンソースが死ぬのではないか説
逆に、単発系、特に背景知識も必要ないSaaSは死ぬんじゃないかな。あと、ユーティリティ系のサービスやプロダクトも死にそう。あと、オープンソース系のメンテナンスをする人もだいぶ減ってきているっぽいので、そういう意味でいろんなものが少しずつ死に絶えていくような気もする。
いま、いろんなオープンソースのプロダクトで生成系AIからのコミットをどう扱うかで試行錯誤していると思うんだけど今のところは、生成系AIを使ったコミットを制限する方向の話をよく聞く。でも、たぶんそんなことは早晩言ってられなくなってくると思うし、今はまだ人が生成系AIを使って作成したものをコミットしてくるだけだけど、今後は生成系AIが勝手にコミットしてくる世界がそこまで来ている。
しかも、オープンソース系のプロダクトだと、すでにCI/CDが備わっていることが多いので、すごい勢いで回転していく可能性がある。そうなったときに、今のオープンソースの倫理観、モチベーション、ライフサイクルがどうなっていくのかという話は、はっきり言えばSaaSがどうなるより個人的には気になっている点ではある。