そうだ車輪と名づけよう

やる夫スレ十選の話

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レビュー・感想

ネットをぼんやりと見ていたら、「やる夫スレ十選」なる話題がある様子。出どころはX(旧Twitter)のようで、ハッシュタグ「#やる夫スレ十選」で盛り上がっている。

そういえばあったなぁと感慨にふけりつつ、確かに一時代を築いたコンテンツなのに、微妙な時代感の中で消えていってしまいそうな気配もする。これは自分用のメモとしても書き残しておいたほうがいいかなと思って書き残しておく。たぶん、PCからスマホへの移行が一つの契機になってる気がする。

特段ここではやる夫スレがなんなのかなんてのは書かなくていいとは思うので、まずは心に残っているやつを挙げてみる。できるだけオリジナルで。王様のレストランとか、やらない夫のドラゴンキラーありますとかみたいに原作というか、原作アリのパロディで好きなやつとかもいっぱいあるけど、一旦除いておこう。

なんか適当にリストアップしたら10個じゃないな、まぁいいか。あと、この紹介文を書くのに、それぞれを見直したりしていないので、もしかすると違っていたり、他の作品とごっちゃになっている可能性もあるけど、まぁいいでしょう。気になるなら読めばいいのです。

やる夫の魔王の道

料理人のやる夫が、ひょんなことから魔王軍に拾われて、そこで料理人として少しずつ頭角を現していく…みたいな話。所々のコメディタッチな内容とは裏腹に、シリアスな展開が魅力的。ぱっと見、この作品を上げている人も多いっぽい。いつもはタダうざいだけの「でっていう」も、この作品では深い印象を与える良いキャラクターに。

この記事を後から読み返すと、なんか紹介文がさっぱりしているな。いや、逆にそれくらい濃密な話なんすよ。

やる夫のダンジョン運営記

現実とは少し違う現代が舞台。世界にはダンジョンと呼ばれるものがあり、その中では地上では使えなくなったはずの魔法が使え、モンスターが沸いて出てくる世界。そのダンジョンを攻略するプロの冒険者から、セミプロ、高校の部活感覚で攻略するアマチュアなど、ダンジョン攻略が一種のスポーツのような世界。とある事情で引きこもってしまった主人公やる夫がふと拾ってきたコボルト。そのコボルトが自宅の裏庭でダンジョンを作っちゃった。そこから始まるやる夫のダンジョン運営記。

ちなみに、この世界には神様が実在します。それどころか神様が国を統治しています。日本の最高権力者は天照大御神です。南北朝時代は、サボりたかった天照大御神が、自分の身代わりに作ったロボットが勝手に動き出したせいで分裂してしまったようです。

世界の神話をごった煮して、糸を張り巡らせるような世界観。神話とか好きな人はかなり刺さるはず。町作り要素あり、歴史改変要素あり、剣と魔法、ダンジョン何でもかんでも詰め込んだ一代物語。

いま、なろう系?でダンジョン攻略を動画配信するみたいなパターンの物語もあるっぽいけど、この作品はこの時代からそんな事やってたのも面白い。この作者は、今でもどこか作品を書き続けている気がしている。

作中出てくる「たまにはいいことをしないと、バランスが取れないんだよ」みたいな感じのセリフは、いまでも時折思い出す。

やる夫がお隣のお姉さんを孕ませたようです

もう身も蓋もないようなタイトルとお話。プロローグは、文字通り「やる夫がお隣のお姉さんを孕ませたようです」。すったもんだの家族会議、両家の話し合いが終わったあと、大人たちが考えたのは「生まれてくる子が、友達を作れるようにしてあげたい」。やる夫達が住む村は、限界集落と言っても仕方がないくらいの過疎った村だったのでした。

そこから始まる村一丸となった村興し、住民誘致のてんやわんやを半ば力技のコメディタッチで描いていく。タイトルが直球過ぎて敬遠しがちだけど、そこで終わらない面白さがある作品。

やる夫がドリームプロジェクトなようです 

「できるだけオリジナルで」といった割に、出してくる原作あり作品。名作RPG クロノトリガーをやる夫スレで再現した作品。これだけならここに挙げないんだけど、この作品、クロノトリガー本編では語られていないこと、伏線として有りそうなこと、多分こういうストーリーあっただろみたいなものをこれでもかと詰め込んだ作品。

これを読んでしまったせいで、自分の中のクロノトリガーの思い出や知識のうち、どこまでが本編で、どこからがこのスレの内容だったか、曖昧になるくらいにピタッとハマっている。クロノトリガーをやったことがあるなら、一度見てみたほうがいい作品。

入速出邸の住人はフリーダムなようです 

これはもうなんて言っていいのかわからないけど、ただのコメディ。病気の妹のために世界有数の福利厚生を社員に提供する会社に入社したやらない夫。いつの間にやら社長の息子がシェアハウスしている家に住むことに。そこから始まるハチャメチャな日常生活を綴った物語。

当時の時代性や懐かしカルチャーみたいなものを色々引っ張り出してくるので、正直今の時代に見て楽しめるかと言われるとよくわからない。ただ、ある種の人たちにとっては、笑いとともにノスタルジックな気持ちにさせてくれると思う。

やる夫は剣を抜いたようです

これは、3つの作品で1つの物語を描いている作品。幼馴染のやる夫とやらない夫。とある事件をきっかけに二人の運命はあるときは離れ、対立し、最後に一つの物語に収束する。アーサー王伝説を舞台にした「やる夫は剣を抜いたようです」、ケルト・アイルランドを舞台にした「剣はやらない夫を選ぶようです」、そして2つの物語が交わる「やる夫は剣を――」。

正直当時は、アーサー王伝説も、ケルト系の話もあまりしらなかったけど、今もう一回読み直したらもっといろんなことに気がつくかもしれない。ちなみに、好きなシーンは、「マーリンが幽閉されていなくなったのが嬉しすぎて、普段の険悪さはどこへやら、肩を組んで大喜びするガウェインとランスロット。喜びすぎて窓からうっかり飛び降りた」みたいなシーン。あれ?このシーンがあるの、この作品だったよな…。違う作品だったかも…。

やるテト、31歳いつもの毎日 

この作品はなんだろう。別になにか大きな話でもないんだけど、なんかずっと覚えてるんだよな。子どもの頃から腐れ縁で、付き合って、一緒に住んでいるくせになにも起こらないやる夫と重音テトの二人を中心にした、あれやこれやの物語。

なんか、紹介を書こうという感じではないんだけど、なんか残っている作品。

やる夫とやらない夫で学ぶヴィクトリア朝イギリスの生活 

これも、この作品名を挙げているけど、この作者が書いている一連の作品類。食の歴史やビクトリア朝時代の歴史なんかを紹介している。知識系なんだけど、ちゃんとした?ストーリー仕立てになっている。

すごく勝手なイメージだけど、イギリスの迷物料理、うなぎのゼリー寄せが一部の界隈でえらくメジャーなのは、この作品のせいなんじゃないかと思っている。

やる夫は魔法学院で繰り返すようです

魔法+ループもの。魔法学園に入学したやる夫はあるとき自分が過去に戻ったことを自覚する。自分はなぜ過去に戻るのか、未来から来たという人が語る信じがたい未来の話。その未来に立ち向かうため、繰り返しながら、少しずつ未来に進んでいく物語。

ぶっちゃけて言うと死に戻り系。こういう系はあまり話すといけないので、これも好きなシーンを。「君のそばにいるのが私でなくても、私は君に笑っていてほしかった」みたいなシーン。

やる夫の家業は悪の組織のようです

正義のヒーローも、悪の秘密結社も存在する世界。かつては血みどろの抗争を繰り広げていたが、時代は変わった。いまでは、正義も悪も興行としてのバトルを繰り広げる。新しい世界に育った世代と、血みどろの抗争を繰り広げていた世代。時代の変化に戸惑いつつも、それでも平和に生きていくみたいな話。

知っている人なら、天体戦士サンレッドの世界観が近いかもしれない。っていうか、サンレッドも出てくるしね。出てくるヒーローや怪人も仮面ライダーやらから。そういう意味で、懐かしいやら新鮮やら。

この世界には、なにかが足りないようです

男しか存在しない世界。ドールと呼ばれる女性型ロボット兵器。侵略してくる正体不明の敵。そしてドールが自我を持つ。この世界はどこかおかしくて、どこか足りない。そんな世界で、侵略者からドールを操り国を守る兵士たちの物語。

このよくわからない世界が、少しずつ紐解かれていく。なにがおかしくて、なにが起こっているのか。そういうのを辿っていく面は確かにあるんだけど、基本的には戦争を舞台にした話。そして、最後に明かされるこの世界の真実とは。

キッチンやらない-O

頭のおかしな料理人 やらない夫を主人公にした作品。ノリと勢いで突っ走る系。ほかのやる夫スレでも、この作品に影響を受けた描写をちょくちょく見るので、やっぱりすごい作品だったんだなと思う。ハッシュタグの方でもこの作品を挙げている人が結構いたし。

ちなみに、もっとすごいのは、この作品後世に小説化、漫画化されている。そういう意味でも稀有な作品なんじゃないかなと思う。好きなシーンは、料理人である友人と味噌のポテンシャルと未来を語っていたら盛り上がりすぎて、通行人に無理やり飯を食わせはじめてお縄になる辺り。その後、友人の奥さんに迎えに来られるのも好き。

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